お役立ちコラム

【終活に拍手】第十一回 「おひとりさま」の終活とは?

2021.05.31


『死は、全員が初体験。だから準備の仕方を知らない。しかし、しっかりとした準備をした人は家族から拍手喝采を受けます。』

人が死ぬと、何をしなければならないか?
皆さんわかりますか?
そうです、葬式です。これは、生前故人に縁のあった方々に集まってもらい、最後のお別れをするという儀式ですね。
この葬式の後、リムジンのバンに乗って火葬場へ行き、
そして、納骨のあと、墓に入るというのが一般的ですね。
しかし、最近では、直葬といって、葬式をしないで、いきなり、火葬場へ行くというケースも増えているそうです。
その葬式が終わったら、次は、市役所へ行き、年金や健康保険の手続き・病院代等のお金の支払い・銀行等へ行き、預金の解約や、名義変更の手続き・公共料金の手続き・クレジットカードや携帯電話の解約手続きなどがあります。
これらの面倒な手続きは、いったい誰がするのでしょうか?
当然ですが、亡くなった本人はできません。
だから、残された妻、妻がいなければ子供、子供がいなければ兄弟、兄弟がいなければ、その他の親族などがしています。

しかし、世の中には、これらの親族がおられない方もいますし、親族がいるのだけど、疎遠でとか、事情があって頼めないケースもあるのです。
こういう方を『おひとりさま』と呼ぶのだそうです。
今日は、『おひとりさま』の終活についてお話します。

実は、先ほど列挙した面倒な手続きを、おひとりさまが、生前に誰かに頼んでおくことができる制度があるのです。
それを『死後事務委任契約』といいます。

皆さんにこのコラムで私が何回もお伝えしている『公正証書遺言』とはどう違うのかといいますと、遺言書は、あくまでも財産の承継について書くだけのものなのです。
「自宅は○○にやる・預貯金は△△にやる」のように書くのが遺言書なのです。
これに対して、生前に友人や知人に、財産以外のことの事務を頼みこれを公正証書にして契約しておくのが、『死後事務委任契約』なのです。
たとえば、「死亡届の提出のこと・葬式は○○〇でして欲しいとか・お墓はどうして欲しいとか・遺品整理はこうして欲しいとか・ペットの猫はこうして欲しいとか・年金の手続きのこととか・生命保険の手続きのこととか・・・・・」
こういう風に具体的に書いておくのです。

『おひとりさま』には財産もあるでしょうから、財産については『公正証書遺言』にして、死後事務委任契約とセットで作っておかれることを私は専門家としてお勧めしています。

それからもし、友人・知人もなく頼める人がいないという人は、第三者の専門家(司法書士や行政書士)にこの手続きを依頼する形で契約しておくことも可能(費用がかかります)ですから、こうしておけば、自分の死後について誰にも迷惑をかける心配がなく安心できますね。

「誰かがなんとかしてくれる」と考えずに、ご自身で準備できることは準備する。
これが終活に拍手です。


執筆者:田村滋規


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