お役立ちコラム

【終活に拍手】第十回 原因は連帯保証人だった

2021.05.14


『死は、全員が初体験。だから準備の仕方を知らない。しかし、しっかりとした準備をした人は家族から拍手喝采を受けます。』
皆さん知っていましたか?
中小企業の後継者がいない率の全国ワースト3が山口県らしいのです。
なんと山口県の中小企業の後継者不在率は75%。一位は沖縄県で83%、2位は鳥取県で76%です。   
山口県の中小企業4社のうち3社の後継者が決まっていないという現状です。
若い時に起業してどんどん会社を大きくしていった社長さんも、いつかは第一線を退き後継者にバトンタッチをする時がやってきます。ところが、多くの中小企業が後継者問題を抱えており、このままいくと、廃業する会社が増え、山口県の経済や雇用に大きな影響を与えることになるでしょう。
今日はこの中小企業の後継者問題についてお話します。

中小企業の場合、子供が後継者というのが、最も多いのですが、子供が父の後を継がないとなると、社員の中から後継者を選ぶというケースになるでしょう。
後継者候補がいない場合は、まずは候補を見つけないことには話が進みませんが、候補がいるにも関わらずなかなか承継がスムーズに決まらない事が多々あるのです。
皆さん、なぜだと思いますか?
実は、『会社の借金の連帯保証人』がその理由のようです。

中小企業のほとんどは銀行で借り入れをしていますが、この借入金に対して『社長が連帯保証人』になることはビジネスの世界でこれまで常識でした。
そして、社長が交代するとなると、銀行はこの連帯保証人を新たに社長になる子供さんに要求するわけです。
ところが、ここで子供が『ノー』といい、事業承継がストップしているというのです。
子供から言えば、親父の作った借金の保証人になるのは嫌だということでしょう。
子供ですら嫌なのですから他人である社員でしたら後継者になるのに連帯保証人がセットであれば そりゃあ、後継者になることは断りますよね。
一方、銀行の方は、借入金に対して、保全をしなければなりませんから、この事は当然の要求になるわけです。
この『連帯保証人』の問題が、後継者が決まらない原因の一つでもあるようです。

しかし、ほとんどの方は知りませんが、国はこの問題を重くとらえ、解決のために『社長の個人保証解除を支援する制度』を今年の4月1日から始めました。
今年の4月といえば、世の中はコロナ一色でしたから知られていないのもあたりまえですが・・・。
この制度の仕組みは、社長の個人保証の代わりに山口県の信用保証協会の保証(既存の保証とは別枠で)をつけることで、後継者が銀行の借金の保証人にならなくてもよくなるのです。
また、保証協会の保証料も通常より安く設定されています。

この制度は、正式には『事業承継特別保証制度』といいます。
いくつかの条件を満たすと、この制度を利用できる可能性があります。(詳細は末尾記載の相談窓口に問い合わせください)

(1)3年以内に事業承継予定(すでに代替わりしていたらダメ)
(2) 会社の資産が負債よりも多い
(3) 返済できる能力がある
(4)会社が社長にお金を貸していない
(5)既存の借入の返済緩和をしていない
どうでしょうか?利益がいくら以上とか・売上がいくら以上とかではなく、条件がゆるやかですよね?

個人保証がネックで後継者問題に頭を悩ませている社長さんは、この制度の活用を考えてみてはいかがでしょうか。
相談窓口は、『公益財団法人 やまぐち産業振興財団』です。
住所 山口市熊野町1―10 NPYビル8階
TEL 083-902-6977


執筆者:田村滋規


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