お役立ちコラム

【終活に拍手】第三回 消えた遺言書とは?

2020.11.25


『死は、全員が初体験。だから準備の仕方を知らない。しかし、しっかりとした準備をした人は家族から拍手喝采を受けます。』

前回、子供のいない夫婦は、夫が遺言書を残すことが妻への思いやりだという話をしました。
そこで今日は、この遺言書(ゆいごんしょ)の話をします。

実は、遺言書には二種類あるのです。一つは、あなたが書いてあなたが保管しておくもの。これを『自筆証書遺言』といいます。
もう一つを、『公正証書遺言』といい、これは法律実務のプロである『公証人』が法的に不備のないように作成し、公証役場の耐火金庫で原本を保管してもらい、あなたは正本・謄本を持っておくものです。

ここで少し、想像してみてください。
あなたは、次のような内容の遺言書を自分で書いて、長男と次男には遺言書を残していることを秘密にして、あなたの机の引き出しの中に隠していました。
『墓と仏壇を守ってもらうために、長男には5000万円の遺産の70%を、次男には30%を相続させる。具体的には、長男には自宅2000万円と●●銀行の定期預金1500万円をやり、次男には▲▲銀行の定期預金1500万円をやる』

ある日、あなたが、心筋梗塞で急死しました。通夜・葬儀が慌ただしく終わりました。
それから一週間後のある夜に、次男は、仏壇にお参りし線香をあげた後、あなたの書斎を整理していて、偶然に机の引き出しの中から、このあなたの遺言書を見つけました。

次男はどうすると思いますか?
たぶん、心臓がバクバクするのを感じながら、まわりに誰もいないことを確認して、コッソリと中を読みますよね。
そうしたら、見覚えのある、あなたの字が目に飛び込んできます。次男には定期預金1500万円と書いてある。
『がびーーーん。』
『民法は、兄弟は平等といっている。俺は、本当は、2500万円もらえるはずなのに・・・』

どうしたらいいのだろうか? 俺は納得できない。
ここで悪魔が、そっとささやくのです。『破って捨てればいいじゃないか・・・』と。
幸いなことに、今は、兄貴もいないし、この遺言書のことを兄貴はまだ気が付いていないようだし。

実は、このような理由で、消えてなくなる遺言書は多いのです。
この兄と弟は、遺言書がないから、話し合いになり、50%ずつ財産を分けることになりました。
あなたに、遺言書の知識が欠けていたために、あなたの想いは、実現できなかったのです。

ですから、少しの費用と手間は掛かりますが、私は専門家として、安心で確実な『公正証書遺言』を、皆さんにお勧めしているのです。


執筆者:田村滋規


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